転勤族にとって妊娠・出産のタイミングって難しいですよね。転勤のタイミングに被らないように限られた期間で妊娠しなければいけないのに、なかなか思うようにいかず、夫婦2人の生活が予想以上に長くなってしまう人も多いのではないでしょうか?
私もその1人で、実は今年の9月から不妊治療をしにクリニックに通っていました。今回はそのときのことを記事にしますので、不妊で悩んでいる人にぜひ読んでいただけると嬉しいです。
不妊治療を始めたきっかけ
実は私は1年ほど前に1度妊娠したことがあります。しかし9週になっても心音が確認できず、結果として稽留流産になりました。
そんなこともあってお互いに妊娠の能力はあると自負していたのですが、それから1年全く音沙汰がなく、8月はとうとう妊娠していないのに生理周期が54日にもなってしまったので排卵日のタイミングすらとることができなくなってしまいました。
そんな時夫から「年齢も年齢だし、一度お互いに検査してみようか?」と提案され、焦る気持ちを落ち着かせる意味も兼ねてクリニックに行ってみることにしました。
初めてのクリニック
不妊治療には病院選びが重要ということで、ネットの口コミなどを調べまくって市内で一番評判が良く通いやすいクリニックを選びました。
ここはWEB予約ができるということで予約して行ったのですが、想像以上に患者数が多く夕方まで待たされました。
順番が近くなってクリニックに行くと婦人科ということもあり、女性ばかりなので夫はちょっと浮いていて恥ずかしそうでした。
ドキドキの診察と衝撃の診断
女性は誰でもそうかもしれませんが私は婦人科の内診が苦手です。なので診察が近くなると心臓がバクバクしていました。
診察の順番が来て中に入り、生理が遅れたこと、1年くらい妊活しても妊娠しなかったことを話しました。すると医師から
「太っているからね~。多囊胞じゃないかな。まあ内診すれば分かるから」
と見た目だけで診断結果を言われました。内診はさすがに夫は入れず私だけだったのですが一瞬で終わり、
「やっぱり多囊胞性卵巣ですね。太った女性に多いんだよね。無排卵だからいくらしても妊娠しない。まぁ晩ご飯でも抜いて5kgくらい体重減らせば改善する可能性はあるかもしれませんね」
と言われました。まるで私が不妊の原因であるかのように夫の前で宣告され、私は顔が赤くなっていくのを感じました。
夫「他に検査とかはしないんですか?」
医師「おいおいやっていくのでね。また来週来てください。」
これで初の診察は終了しました。
多囊胞性卵巣とは
全く想定外の病名に私はとても落ち込みました。そして待合に戻るやいなや、必死でググって調べまくりました。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:polycystic ovarian syndrome)とは、若い女性の排卵障害では多くみられる疾患で、卵胞が発育するのに時間がかかってなかなか排卵しない疾患です。
PCOSでは、超音波で卵巣をみると10mmくらいの同じような大きさの卵胞がたくさんできて卵巣の外側に1列に並び、なかなかそれ以上大きくならないことが特徴で、ネックレスサインと呼ばれます。
そしてこれがネックレスサインと呼ばれる卵巣の状態です。
(出典:多嚢胞性卵巣(PCOとPCOS)・卵巣過剰刺激症候群 | セントマザー産婦人科医院)
しかしこの画像を見て、私は頭が「??」になりました。というのも一瞬ではあったものの私が見た自分の卵巣のエコーはこのようにたくさんの卵胞が外側にぎっしり連なっていなかったからです。
私の卵巣の中にあった卵胞は4~5個で、下の図のように連なっているのではなく、1つが大きくなって他は点在しているような状態でした。
そこで私は「卵胞の平均個数」や「多嚢胞性卵巣 卵胞の数」などを検索ワードにしてさらに検索し、多囊胞性卵巣は10個以上の卵胞が確認できることのようだとわかりましたが、医師があんなに断言して診断しているのに、それを覆すまでの自信が得られませんでした。
しかし診断基準としてエコー検査の他に
PCOSの方は、生理中の血液検査で脳から出るゴナトロピン(LHとFSHのこと)をはかるとLHがFSH(卵胞刺激ホルモン)より高くなるという特徴があります。
と血液検査でも分かるようなので、その結果を待ちながらダイエットに励むことにしました。
クリニックに週1で通う日々が始まった
毎回夫婦で行くのに放置されている夫
それから夫婦で不妊治療に向き合う生活が始まりました。ネットだけでなく図書館や雑誌などでも不妊の本を読みあさり、良いと書かれていることは実践しました。
一番劇的に変えたのは食事です。甘いおやつなんてもってのほか、アーモンドで空腹をまぎらわせるくらいです。パンも全粒粉を使ったものにしたり、私のご飯の量はとにかく減らして野菜を多く摂るようにしました。
さらに毎週土曜日は朝8時になったと同時にクリックして予約を取り、クリニックで1日潰れます。夫も貴重な休日にも関わらず、それを潰して一緒に通っていました。
しかし毎回検査されるのは私のみで、夫はずっとただの付き添いのように放置されていました。しまいには3回目に医師から
「平日来れないの?奥さんだけでいいから平日来てくれる?」
と言われてしまい、ここから私1人でクリニックに通うことになったのです。
1ヶ月半で4.2kgの減量に成功…しかし
それでも毎日体を整えることに取り組んだ結果、生理も37日周期と自分のリズム通り順調にきて、1ヶ月半後には体重は4.2kg減量していました。
医師から体重を聞かれたので嬉しそうに減量できたことを伝えると、
医師「BMIが25でも高いからね。やっぱり流産せず妊娠したいんだったらBMI22~23でないとね。あと今日から毎日薬飲んでもらうから。」
とあっさり-5キロの目標ではなかったかのように流されました。さらにまだ血液検査の結果も出ていないのに薬を飲み始めるというのも疑問でした。
でも薬と言っても温経湯(ウンケイトウ)という漢方だし、漢方は体にいい気がしたので飲むことにしました。
しかしこの薬の影響なのか、飲むと体がなんとなくダルく、体重も減らなくなってきました。
血液検査の結果とは裏腹な医師の言葉
さらに日は経ち血液検査の結果が出ました。
なんと結果はまさかのすべて正常値でした。
多囊胞性卵巣の特徴ともいえる月経中のLHの値もFSHより低く、どちらも正常値なので疑いは晴れたと思いました。
しかし医師からは
医師「多囊胞性卵巣でしょうね。正常値といっても男性ホルモンが高めですしね。あと生理の周期も37日って長めなので、今日から生理を早めるためにホルモン剤を飲んで28日周期にしてもらいます。」
と言われました。
お妻「え?でも排卵日がまだなのに生理起こしたら妊娠は?」
医師「不完全な状態で妊娠しても、流産する確率高いですからね。」
という衝撃のものでした。男性ホルモンも正常値内だったのですが、正常値の中で高いとかあるのでしょうか?疑問はどんどん膨らみます。
でも流産という言葉を出されると、私は非常に弱いです。もう2度とあんなつらい思いはしたくない。だから健康な赤ちゃんを産むためにホルモン剤を飲むことにしました。
ホルモン剤の副作用と増える疑問に葛藤する日々
ところがこのホルモン剤の副作用は温経湯(ウンケイトウ)ほど甘くはありませんでした。
ホルモン剤を飲むとしばらくして頭痛と目が真ん中に寄りそうになるというか、焦点が合いにくくなるようなめまいを起こします。体もダルく、ブログを書こうとしても全く頭が働かなくて書けないのです。さらには卵焼きを焼こうとして、フライパンではなく溶いた卵に油を注ぐなど、普段ではありえないような失敗を連発して起こすようになりました。
不妊治療をしながら働く女性もたくさんいるのに、私は主婦なのにこんなこと言って申し訳ないですが、やる気が起きないし、車も運転できるような状態じゃないし、何もかもが思うようにできなくて日常生活を送るのもつらい状態でした。
クラクラした頭で私はふと思いました。
「不妊治療始める前、私はもっと元気だったはずなのに…。元気な赤ちゃんを産むための不妊治療のはずなのに、こんな状態で子供なんてできるのかなぁ…。」
そうすると勝手に目から涙が滲んできました。後から考えるとこれも副作用だったのかもしれません。
でもよく考えると私は今何の治療に苦しんでいるのか、分からなくなってきました。生理周期は昔から37日前後で正常な周期内のはずです。自分の体調を崩してまで28日周期にする必要はあるのでしょうか?それこそ今自分の周期で整っているホルモンバランスを薬によって崩している行為なのではないでしょうか。
勇気を持った決断
いろいろ悩んだあげく、私は今の思いを夫にぶちまけることにしました。
そして2人で話し合った結果、薬を止め、クリニックに行くことも止めることにしました。
これはとても勇気のいる決断でした。
「薬を飲まなかったら、病院に行かなかったら子供ができないんじゃないか」
「この判断を後に後悔する日が来るんじゃないか」
そんな不安がよぎって、暫く2人とも沈黙が続きました。
しかし薬を飲まなくなって数日が経ち、私は今ではスラスラとブログを書くことができています。薬が切れただけかもしれませんが、雲が晴れたように頭がスッキリして鼻歌を歌いながら家事もできるようになりました。当たり前だったことですが、今はそれができるようになったことが嬉しくてたまらないのです。
さらに、今まで停滞していた体重がまた減り始め、-5キロを達成しました。
今回のことで私に不妊の原因があるとするならば、それは太っていることだと思います。確かに肥満は不妊や流産のリスクを高める原因になると数々の本にも書いてあります。
しかし私は、未来ある我が子を健全な状態で生むために余計な薬は極力使わず、自分が痩せることで改善することならいくらでもやってやろうと思っています。今はまだ自分の判断に完全なる自信は持てないでいますが、自分で自分の体をコントロールすることで、きっといつか妊娠し元気な赤ちゃんに出会えると信じています。
日本は不妊治療大国なのに出生率が世界一低い理由
不妊治療というドル箱ビジネス
(出典:産婦人科医が足りない!産科医療崩壊の足音 - 調査結果 - NTTコム リサーチ)
上のグラフにもあるように、今日本の産婦人科医はどんどん減少しています。しかしそれとは逆に不妊治療などを専門とする婦人科医は増加しつつあります。それは単純に高齢化や晩婚化で不妊の人が増加したからでしょうか?
妊活が長引けば誰でも不安になります。人はただ病院で異常がないか確かめて少しでも安心したいという気持ちで不妊治療に足を踏み入れるのかもしれません。
私は医者ではないのでハッキリとはわかりませんが、不妊治療の現場では異常がなかったとしても、さらに検査を続けたり、取るに足りない不調を取りただして薬を処方し、ズルズルと引き込まれていってしまうことがあるのではないでしょうか?
実際たった2ヶ月ちょっと通院しただけで私の支払った医療費は3万円を超えました。
急な出産による時間外労働や赤ちゃんや母体が起こすトラブルによって訴えられるリスクの高い産婦人科よりも、不妊という不確かな病 を当人達のせいにしながら子供ができない限り永遠に高額な治療をし続ける不妊治療の方が儲かるというビジネスモデルが、どうしても頭をチラついてくるのは私だけでしょうか?
時間をかけてないのにやたらと焦る妊活
自分の生活を思い返した中でもう1つ私には心あたりがありました。
それは「不妊だった1年は本当に1年だったのか」ということです。
子供ができず、期間としては1年が経ちました。しかしその1年間のすべてでタイミングがキッチリ取れていたかというと、それは疑問が残るところです。
夫は転勤族なだけでなく、出張も多い人間です。排卵期間に出張でいなかったということも何度かあります。さらに平日は残業で帰ってくるのも遅く、夜にそんな体力も時間も残っていないことが大半で、結局タイミングを取るのは主に休日になっているので、厳密な排卵日とは言えないこともあります。
そんなこんなを差し引くと一体キッチリとタイミングが取れたのは何回なのでしょうか?
1年の定義って何なのでしょうか?
毎日SEXをしていれば確実にタイミングと合致しているでしょうが、そんな夫婦はこの働き過ぎの日本に何人いるでしょうか?
タイミングが合ったとしても百発百中ではないのが妊娠だとしたら、タイミングを合わせにくい人は、妊娠までの期間が延びて普通ではないかと思います。しかし高齢のリスクなどを考えるとゆったり待つ期間がなく、ついつい矛盾した焦りを感じているだけなのではないでしょうか。
不妊を本当に改善させるものとは
長々と書いてしましましたが、私は決して不妊治療を否定しているわけではありません。ネットで検索しても日本は世界でも優秀な体外受精の技術を持っている国だと書いてありますし、本当に治療が必要な人だってたくさんいると思います。
不妊を本当に改善させるものとは、不妊の検査をして何も異常がみつからなかったときに、よく分からない薬を与えるのではなく、「大丈夫。そのうちできますよ。」と安心させて送り出してくれる言葉をくれる病院と、激しく転勤や出張をさせて疲れ果てている社会をもう少しゆとりのある社会にすることではないかと思います。
子供は天からの授かり物というように、自分たちの都合でどうにかなるものではなく、子供のタイミングで来てくれるのを待つしかないのかもしれません。